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周囲のコンクリート打設まで終えた完成後の墓地全景

震災で倒れたお墓を直したお客様からのご紹介。父の三回忌に間に合わせ、雑草を土から絶って敷石にした墓所リフォームの事例|船橋市

  • ご紹介でいただいた、船橋市で農業をされているお客様の墓所リフォーム。玉砂利のすき間から生えてくる雑草に、長く困っていらっしゃいました。
  • 雑草の原因になっていた墓所の中の土を重機で取り出し、一切戻さずに、全面を敷石で覆いました。
  • 草の出る場所そのものが無くなり、これから先はほうきで掃いて水で流すだけで、きれいが戻る墓所になりました。

ご紹介で、いただきました

この工事は、ご紹介からでした。東日本大震災で倒れてしまったお墓を、近藤石材店で直させていただいたお客様がいます。その方が、うちを紹介してくださったんです。直した仕事を見て、人にすすめてくださる。石屋の仕事で、これがいちばんありがたい。

お父様の三回忌に間に合わせたい。そういうご希望でした。

砂利敷きの、きちんと整った墓所です。それでもお客様が一番困っていらしたのは、雑草でした。

このお客様は、船橋市で農業をされています。土も草も、毎日いやというほど相手にしている方です。その方が、お墓の草は大変だと言う。玉砂利の中から生えた草は、畑の土から抜くのとは、まったくの別ものなんです。

砂利のすき間に、指が入りません。根は砂利にからんでいて、引っぱっても上の葉がちぎれるだけ。根はそのまま残ります。だから、また出てくる。きりがない、というやつです。

これはお客様のお手入れが悪いわけではありません。草が出るのは、砂利の下が土のままだからです。原因は、建て方のほうにあります。

施工前。砂利敷きの墓所。見た目は整っていますが、砂利の下は土のままでした。
施工前。砂利敷きの墓所。見た目は整っていますが、砂利の下は土のままでした。

砂利のすき間から雑草が次々と生え、指が入らず根から抜けない状態でした。
砂利のすき間から雑草が次々と生え、指が入らず根から抜けない状態でした。

工事が始まると、カロート(納骨室のことです)はしばらくむき出しになります。解体でぶつけて傷つけてしまう前に、中に納められていた骨壺を一つひとつ取り出して、お預かりしました。長年の汚れも、この機会に洗わせていただきました。

解体の前に、カロートに納められていた骨壺を一つひとつ取り出してお預かりしました。
解体の前に、カロートに納められていた骨壺を一つひとつ取り出してお預かりしました。

バラしてみて、分かったこと

古い砂利を取り除くと、下地材が出てきました。薄いコンクリートが張ってあって、その中はほとんど土。何か所かひび割れていて、おそらくその亀裂から草が生えていたのだと思います。

石をめくってみると、少しのモルタルはあるものの、やはり石は土の上に乗っているだけの状態でした。昔は、これが一般的な施工です。悪気があったわけではないと思います。ただ、年月とともに石は沈み、傾きや雑草の原因になります。同じ石屋として、申し訳ない気持ちになります。だから、うちはここを変えます。

外柵まわりの基礎も、土が流れてむき出しになっていました。その影響で、お墓にわずかな傾きも感じられました。

古い砂利を取り除くと、薄いコンクリートの下地。中はほとんど土でした。
古い砂利を取り除くと、薄いコンクリートの下地。中はほとんど土でした。

土は、戻しません

上物を解体したあと、雑草の原因になる中の土を、重機(ユンボ)で一気に取り出しました。今回の工事で、いちばん大事なところです。

土を取り除くと基礎が出てきましたが、全面を覆うベタ基礎ではなく、外柵の石が載る部分だけの布基礎でした。内側は、ずっと土のままだったということです。

近藤石材店は、墓所の中に土を戻しません。処分費はかかります。それでも、ここで土を戻してしまえば、十年後にまた同じ草むしりが始まります。お墓リフォームの専門家として、何万件もの現場でその結末を見てきました。

雑草の原因になる墓所の中の土を、重機で一気に取り出します。
雑草の原因になる墓所の中の土を、重機で一気に取り出します。

解体完了。動いていた外柵の石は一度外し、土汚れをしっかり清掃しました。
解体完了。動いていた外柵の石は一度外し、土汚れをしっかり清掃しました。

動いていた石は、留め直す

外柵の一段目は残す予定でした。ところが上段を外してみると、動いている部分があります。このままでは、また同じことになる。当社の判断で、一度取り外すことにしました。

取り付け直しは、石材ボンドをつけたのちに、モルタルで基礎にしっかり固定します。一段目はぐるりと一周、すべての目地(石と石のつなぎ目のことです)に金物を入れました。ボンドと金物、両方で留めてあります。もう動いたり外れたりすることはないと思います。

外柵一段目の取り付け直し。石材ボンドとモルタルで、基礎にしっかり固定します。
外柵一段目の取り付け直し。石材ボンドとモルタルで、基礎にしっかり固定します。

二段目、親柱、階段石を一通り取り付けます。この墓所は後ろへ傾斜のある基礎なので、バランスを見ながら一つひとつです。階段石は、そのまま据えると段に水やゴミが溜まってしまいます。工場で手前へ勾配をつけ、その分だけ石の下を削って高さを合わせました。階段石の下にも大谷石を入れ、モルタルで留めています。ここにも土は入れていません。

外柵二段目、親柱、階段石。後ろへ傾斜のある基礎なので、バランスを見ながら据えました。
外柵二段目、親柱、階段石。後ろへ傾斜のある基礎なので、バランスを見ながら据えました。

三センチが、十センチになりました

ここからは、完成すると見えなくなるところの話です。少しだけマニアックになります。

敷石の下地には、まず大谷石などの大きな石を入れました。大谷石は軽くて、湿気を程よく調整してくれるので、見えない下地にぴったりの石です。そのすき間に小さな砕石を入れて、しっかり転圧して固めました。もちろん、土は一切戻していません。

カロートの上には拝石(はいせき)が乗ります。納骨のたびに開け閉めする石なので、下に敷石を平らに張り、その上にきちんと納まるよう天端を削って調整しました。これで拝石がガタつかず、開けたときにコンクリートも見えません。

そのうえでワイヤーメッシュを入れ、既存の石にも鉄筋を打ち込んで絡めます。石とコンクリートが離れないようにするためです。

ワイヤーメッシュを入れ、既存の石にも鉄筋を打ち込んで絡めます。
ワイヤーメッシュを入れ、既存の石にも鉄筋を打ち込んで絡めます。

下地コンクリートの厚みは、以前は三センチほどしかありませんでした。今回は十センチ以上です。これだけあれば、下から根が回ることもなく、割れる心配もありません。

下地コンクリートの厚み。以前の三センチから、十センチ以上になりました。
下地コンクリートの厚み。以前の三センチから、十センチ以上になりました。

敷石は、バサモルタルをしっかり敷いて、高さと水勾配を見ながら一枚ずつ張っていきます。全面にすき間なく張り終えました。草の出る場所そのものが、無くなりました。

外柵の内側、十五ミリほど見えてくる部分は、もともと磨かれていませんでした。ここはサービスで現地で磨き、きれいに仕上げています。

敷石を全面にすき間なく張り終えたところ。草の出る場所がありません。
敷石を全面にすき間なく張り終えたところ。草の出る場所がありません。

ご先祖の石塔と、納骨室

ご先祖を大事にされてきたお宅で、代々の石塔がこれだけ残っています。ただ、数多くの石塔がぎゅっと詰め込まれた状態でした。石と石の間に手が入らないので、間に入ったごみを取ることもできません。掃除がしづらい並び方です。

施工前の先祖石塔。ぎゅっと詰め込まれ、石と石の間に手が入りませんでした。
施工前の先祖石塔。ぎゅっと詰め込まれ、石と石の間に手が入りませんでした。

解体の前に、並び順と台座(だいざ)の組み合わせを一つひとつ確認しました。元通りに、間違いなく組み直せるようにするためです。

石塔は高圧洗浄機で、一基ずつ丁寧に水洗いしました。見た目をきれいにするだけではありません。接着面の汚れを落としておくと、ボンドやモルタルの付きがよくなります。

先祖石塔を高圧洗浄機で一基ずつ水洗い。接着面の汚れも落とします。
先祖石塔を高圧洗浄機で一基ずつ水洗い。接着面の汚れも落とします。

いきなり立てることはしません。まずは仮に並べてみて、位置、石と石の隙間、大きさのバランスを見ながら、配置をていねいに決めていきます。据え付けは、中央にボンドを入れてから周りをモルタルで囲い、水平を見ながら固定しました。

いきなり立てず、まずは仮並べ。隙間と大きさのバランスを見て配置を決めます。
いきなり立てず、まずは仮並べ。隙間と大きさのバランスを見て配置を決めます。

お墓本体の石塔には、地震対策として石と石の間に免震パッドを入れています。耐震性の高いコーキング材も併用しました。揺れを吸収して、石塔本体にかかる負担を軽くする施工です。

石塔の据え付け。石と石の間に免震パッドを入れ、揺れを吸収させます。
石塔の据え付け。石と石の間に免震パッドを入れ、揺れを吸収させます。

納骨室は、一段目が土のままになっていました。床の土をしっかり取り除いてから、コンクリートで均しています。骨壺が九つほどとかなり多かったので、二段目の手前に新しく棚板を設けました。これで納骨スペースにゆとりができ、収納力が高まっています。納骨室の清掃と棚板の増設は、どちらもサービスで対応させていただきました。

納骨室の二段目手前に棚板を増設。骨壺が九つでも、ゆとりができました。
納骨室の二段目手前に棚板を増設。骨壺が九つでも、ゆとりができました。

後ろは、崖でした

この墓所の後ろは、もともと木がうっそうと生えていた場所でした。その木が切られて、あとに残ったのは草だけ。木の根が土を留めていたぶん、地面がぐっと下がってしまいました。今は崖のようになっています。

気づいたのは、私ではありません。工事の途中で、いつも応援に来てもらっている一人親方の藤本さんから「これはもっと下がるよ」と言われました。近藤石材店は、施工を他所に丸投げすることはありません。ただ、人手や重機が要る工程では、こうして長い付き合いの職人に応援に入ってもらいます。

言われてみれば、その通りです。このままコンクリートを足すだけでは、いずれ同じことになる。

基礎そのものは、作り直すほどではありませんでした。だったら、今ある基礎を下から留めてしまおう。杭を打ったほうがいい、という話になりました。

地盤にしっかり刺さるコンクリート杭を打ち込みます。写真の箇所だけでなく周囲にも打ち込み、全部で六本。今ある基礎が、これ以上下がらないようにするための杭です。

地盤にしっかり刺さるコンクリート杭を、全部で六本打ち込みました。
地盤にしっかり刺さるコンクリート杭を、全部で六本打ち込みました。

基礎の天端から五十センチほど下がったところの土をきれいに掘って平らにならし、砕石を撒いて転圧しました。今ある基礎に穴をあけて十三ミリの鉄筋を差し込み、元のコンクリートと新しいコンクリートが離れにくいようにしています。そのうえで、周囲に型枠を組みました。

砕石を転圧し、鉄筋を差し込んでから型枠を組みました。
砕石を転圧し、鉄筋を差し込んでから型枠を組みました。

生コンクリートを打設し、雨水が外側へ自然に流れるよう、水勾配をつけてならしていきます。

生コンクリートを打設し、水勾配をつけてならしていきます。
生コンクリートを打設し、水勾配をつけてならしていきます。

後ろが崖になっていて土が流れやすい場所なので、あえて四十センチ以上の高さで仕上げました。型枠を外して測っても、十分な高さが確保できています。これで、土をしっかり留めることができます。打ったあとは土を戻し、コンクリートがむき出しに見えないよう周りを整えました。

型枠を外して測ったところ。四十センチ以上の高さで、土を留めています。
型枠を外して測ったところ。四十センチ以上の高さで、土を留めています。

仕上がりと、これから

墓所部が仕上がりました。先祖石塔もあわせて洗浄と据え直しを行い、墓所全体がすっきりと整いました。

墓所部リフォーム完成。先祖石塔もあわせて洗浄・据え直しをしました。
墓所部リフォーム完成。先祖石塔もあわせて洗浄・据え直しをしました。

一番のお悩みだった雑草は、敷石で全体を覆ったことで、ぐっと生えにくくなりました。砂利をかき分けて指を突っ込む必要も、もうありません。ほうきで掃いて、気になるところを水で流す。それだけで、きれいが戻ります。

十年後、二十年後にお参りするご家族が「いつも綺麗で助かるね」と、心穏やかに手を合わせられること。近藤石材店が墓所のリフォームで目指しているのは、そこです。

🔨 5代目のひとこと

解体してみたら、やっぱり石が土の上に乗っているだけでした。昔はこれが普通だったので、前の石屋さんを責めるつもりはありません。ただ、中に土がある限り、草は必ずまた出ます。だから今回は、重機で土を全部出して、一切戻しませんでした。下地のコンクリートも、前は三センチしかなかったところを十センチ以上打っています。ここまでやれば、下から根が回ることはありません。一番気を使ったのは、後ろの地盤です。もともと木がうっそうと生えていた場所で、その木を切ったら地面がすごく下がってしまった。正直、私は見落としていました。応援に来てもらっている藤本さんに「これはもっと下がるよ」と言われて、その通りだと思って杭を六本打ちました。今ある基礎が、これ以上下がらないようにしています。コンクリートも四十センチ以上の高さで留めています。完成したら見えなくなるところですが、十年後に効いてくるのはここです。

いただいた疑問・ご質問

Q. 砂利をやめて全面を石にすると、雨水はどこへ流れるのですか。

A. 敷石は水平ではなく、水勾配をつけて張っています。降った雨は石の面をつたって外へ流れていきます。墓所のまわりに新しく打ったコンクリートも、外側へ勾配をつけてならしました。砂利のときより水はけはよくなります。

Q. お墓の後ろの地盤が下がっています。コンクリートを足すだけで大丈夫でしょうか。

A. 場所によります。今回は、もともと木が茂っていたところの木が切られて、地面が下がってしまった場所でした。基礎はそのままで大丈夫というお話だったので、その基礎を下から留めるために、コンクリート杭を六本打ち込んでいます。そのうえで今ある基礎に十三ミリの鉄筋を差し込んで一体にして、四十センチ以上の高さでコンクリートを打ちました。ここまでやるお墓は、正直そう多くありません。ただ、土が流れていく場所でコンクリートだけを足しても、年月が経てば同じことになります。

Q. 先祖代々の石塔は、処分したほうがいいのでしょうか。

A. 捨てなくて大丈夫です。長年の汚れは、高圧洗浄機で洗えばかなり落ちます。そのうえで並べ方を工夫すると、ぎゅうぎゅうに詰まっていた石塔が、手の入るゆとりのある並びになります。今回もそうしました。まだ使える石は、使います。

施工前 → 施工後

施工前。砂利敷きの墓所で、砂利の下は土のままでした。

施工前。砂利敷きで、下は土のままでした。

施工後。全面を敷石で覆い、お手入れのしやすい墓所になりました。

施工後。全面を敷石で覆い、土を戻していません。

この墓所では、先祖代々の石塔の洗浄と据え直し、納骨室の棚板増設もあわせて行いました。同じような工事の事例も載せています。

船橋市、八千代市、千葉市、四街道市、大網白里市あたりでしたら、現地を見にうかがいます。お墓の雑草でお困りでしたら、気軽に声をかけてください。

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執筆:有限会社近藤石材店 5代目 近藤洋(創業1925年・千葉県八千代市佐山1837-1・TEL 047-488-5054)

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