「ご先祖の遺骨は、一つも減らしませんでした」—骨壺でいっぱいのカロートを二段に増やし、あと三人分の納骨スペースをつくった事例|船橋市 S・K・A様
- 船橋市のS・K・A様。先祖代々の骨壺が増えて納骨室(カロート)がいっぱいになり、ご自分たちの入る場所がなくなっていました。
- 掘りが60cmほどあったので、厚み3cmの御影石の棚を一枚渡して上下二段に。石は自社の在庫を使い、八千代市の自社工場で加工しました。ご先祖の遺骨は、粉にすることも減らすこともせず、洗って元のとおりに戻しています。
- 最低でもあと三人分の納骨スペースができました。粉骨で同じだけ空けようとすると20万円ほどかかるところ、このお墓の場合は5万円ほど。浮いた分で、外れていた囲石も直しています。
「先祖に申し訳ないと思った」
アンケートに、この一行がありました。
船橋市のS・K・A様からいただいたご相談は、「先祖代々の遺骨が増えてしまって、自分たちの入る場所がない」というものでした。それまでにも、いくつかの石材店さんに相談されていたそうです。返ってきた答えは、古い順に遺骨を何体か取り出して、その場で機械にかけて粉末状にし、お墓の回りに撒く、という方法。
粉骨そのものが悪い方法だとは思いません。実際に選ばれる方もいます。ただ、S・K・A様にとっては、そこがどうしても引っかかった。守ってきたご先祖に、自分たちの都合で手をつけることになる。悲しみでも、不満でもなく、申し訳なさ。ご相談の入口は、この気持ちでした。
ふたを開けたら、八つか九つ
まずは船橋市の墓地に伺って、お墓のふたを開けさせていただきました。中を見ないことには、何も言えません。

ふたを開けたところ。骨壺で、ほとんどふさがっていました。
骨壺が、八つか九つ。空いている場所は、ほとんど残っていませんでした。それだけご先祖を大事にされてきたということでもあるのですが、たしかにこれでは、次の一人が入る場所がありません。
工事の日、その骨壺をまず全部、いったん外に出しました。

外に出した骨壺。長い年月の汚れが、ずいぶん付いていました。
掘りが60cm。それなら、二段にできる
中を見ていて、一つ気づいたことがありました。このお墓、掘りがずいぶん深いのです。

骨壺を出したあとのカロート。これだけの深さがあります。
測ってみると、60cmほど。カロートの深さはお墓によってまちまちで、浅いお墓もあれば、深く掘ってあるお墓もあります。60cmあれば、真ん中に石の棚を一枚渡しても、上下それぞれ30cmは取れる計算です。骨壺の高さはだいたい25cm。上にも下にも、きちんと納まります。
二段にすれば、いま納まっているご先祖の遺骨は減らさずに、順番も変えずに戻せます。そのうえで、新しく納める場所が生まれる。数えてみると、最低でもあと三人分でした。
粉にするか、しないか。その二択だと思われていたところに、三つ目の道がありました。ただ、これは図面でも写真でも分かりません。ふたを開けて、中を実際に測ってみないと出てこない答えです。近藤石材店が「まず現場を見に行かせてください」とお願いするのは、こういうことがあるからです。
粉骨だと20万円。棚なら5万円
正直に書きますと、近藤石材店でも最初は粉骨を考えました。けれど粉骨は自社ではできません。専門の業者さんにお預けすることになります。
そして粉骨には、あまり知られていない事情があります。一体だけ粉にしても、場所はほとんど空きません。二体分を粉にして、ようやく一体分の空きが生まれる。つまり三人分の場所をつくろうと思ったら、六体を粉にすることになります。
一体あたり、おおよそ3万円。六体で18万円。そこにお預けして受け取る運搬の手間や処理の費用が乗って、20万円ほど。しかもこれは、そっくりよその業者さんへ支払うお金です。うちがどれだけ工夫しても、安くしようがありません。
棚なら、話が変わります。石を切って、寸法を合わせて、据える。石屋の仕事そのものです。使ったのは、自社の在庫にあった白系の御影石。厚みは3cm。八千代市の自社工場で寸法に挽いて、そのまま自分たちで運んで据えました。材料も手間も自分たちの中で完結するので、このお墓の場合は5万円ほどで仕上がっています。

自社工場で挽いた、厚み3cmの白御影。これをカロートに入れます。

棚が入って、上下の二段になりました。
ご先祖の遺骨を減らさずに済んで、しかも費用は四分の一ほど。S・K・A様が「良い提案」と書いてくださったのは、この二つがそろったからだと思っています。
洗って、元のとおりに戻します
せっかく開けたのだからと、外に出した骨壺は一つひとつ、洗わせていただきました。

汚れを落とすと、壺の白さが戻ります。
そして、下の段にご先祖、上の段はこれから。順番はそのまま、元のとおりに納め直しました。

洗った骨壺を、上下二段に納め直したところ。
粉にすることも、数を減らすことも、しませんでした。それでいて、これから三人分の場所が空いています。
浮いた分で、囲石も直しました
粉骨でいくより十五万円ほど抑えられたので、S・K・A様がもう一つ気にされていたところにも手を入れました。外れかけていた囲石です。囲石というのは、お墓のまわりを囲っている外柵の石のことです。
以前この石に登ったときにコンクリートが落ちて、足を怪我されたことがあったと伺っていました。石が外れたままのお墓は、見た目だけの問題ではありません。寄りかかったとき、登ったときに、石そのものが動きます。

外れていた囲石を、下から支えて外したところ。

まわりを養生して、外まわりの作業にかかります。

石を外して、下地から直していきます。
灯籠の足元まで、きれいに
外した石は、そのまま戻すだけでは同じことになります。下地を整えてから、あらためて据え直しました。

下地を整えて、石を据えていきます。

石の位置は、手で確かめながら合わせます。
仕上げに、五色砂利も敷き直しました。これはサービスです。砂利は年数が経つと沈んで、土と混ざって、だんだん色がくすんできます。敷き直すと、それだけでお墓の表情が戻ります。

砂利も敷き直して、灯籠の足元まできれいに。
立ち会えなくても、見えるようにする
この工事、S・K・A様は立ち会っていません。
近藤石材店では、立ち会えないお客様に工事写真報告書をお渡ししています。どの工程で何をしたのかを、写真で順番に見ていただけるようにしたものです。カロートの中は、ふたを閉めてしまえば二度と見えません。見えなくなるところこそ、写真に残しておく意味があると思っています。
「立会をしなくても、工事写真報告書を見れば、丁寧な作業だと分かります」。そう書いていただけたのは、嬉しかったです。
近藤石材店は『お墓リフォームの専門家』です。何万件もの現場で、10年後、20年後にご家族が困っている姿を見てきました。だからこそ、目の前の「今」だけでなく、その先を見て手を打ちます。今回でいえば、増やした三人分の納骨スペースがそれにあたります。次に納骨があったとき、ご家族はもう石屋を探すところから始めなくていい。ふたを開けて、納めて、閉じる。それだけで済みます。
そしてご先祖の遺骨は、あのときのまま、下の段に並んでいます。
「安心して、お参りが出来るようになりました」。S・K・A様のこの一行が、この工事の答えだと思っています。工事をしたのは、2025年の11月でした。
🔨 5代目のひとこと
骨壺がいっぱいで、自分たちの入る場所がない、というご相談でした。中を見せてもらったら、骨壺が八つか九つ、ほとんどを埋めていましたね。最初はうちも粉骨を考えたんですが、粉骨はうちではできないので、よその業者さんにお願いすることになります。一体で三万円くらい。しかも一体粉にしただけじゃ場所は空かないんですよ。二体で一体分ですから、三人分となると六体。十八万に、預けて受け取る手間賃や処理費が乗って、二十万は見ておかないといけない。それが全部よそに払うお金なので、うちが頑張っても安くならない。このお墓は掘りが六十センチくらいあったので、三センチの棚を一枚入れれば上下に三十センチずつ取れる。骨壺は二十五センチくらいですから、ちゃんと入ります。石はうちの在庫の白い御影を挽いて使いました。それなら五万くらいで済む。出した骨壺は汚れていたので一つずつ洗って、順番どおりに戻しています。浮いた分で、外れていた囲石も直しました。前に登ったときにコンクリートが落ちて足を怪我されたと聞いていたので、そこはどうしても直しておきたかったです。
S・K・A様にいただいた疑問・ご質問
Q. 骨壺がいっぱいなのですが、遺骨を粉にするしかないのでしょうか。
A. そうとは限りません。カロートの掘りの深さはお墓ごとに違っていて、深く掘ってあるお墓なら、中に石の棚を入れて上下二段にできることがあります。S・K・A様のお墓は掘りが60cmほどあったので、厚み3cmの棚を一枚渡して二段にしました。ご先祖の遺骨を減らさずに、最低でもあと三人分の納骨スペースをつくることができています。ただ、深さはふたを開けて測ってみないと分かりません。まずは現場を見に行かせてください。
Q. カロートを二段にするのと、粉骨とでは、費用はどのくらい違うのですか。
A. お墓の造りによって変わりますが、S・K・A様のお墓の場合はこうでした。粉骨は近藤石材店ではできないため専門の業者さんにお預けすることになり、一体あたりおおよそ3万円。しかも一体だけ粉にしても場所はほとんど空かず、二体分を粉にしてようやく一体分の空きが生まれます。三人分の場所をつくるなら六体で18万円、運搬や処理の費用を入れて20万円ほど。これは全額よその業者さんへ支払うお金なので、こちらで安くする余地がありません。一方、棚は石の仕事です。自社の在庫石を八千代市の工場で挽いて、自分たちで据えたので、5万円ほどで仕上がりました。
Q. カロートから出した遺骨は、洗ってもらえるのですか。
A. はい。S・K・A様のお墓でも、出した骨壺を一つひとつ洗わせていただきました。長い年月のあいだに、壺の表面に土や湿気の汚れが付いていることが多いためです。せっかく開けるのですから、このタイミングで一緒にきれいにします。
施工前 → 施工後
施工前。骨壺でふさがったカロート。
施工後。洗って、上下二段に納め直しました。
カロートの中は、開けてみないと分かりません。骨壺のことで気になっていることがあれば、近藤石材店までお気軽にどうぞ。
執筆:有限会社近藤石材店 5代目 近藤洋(創業1925年・千葉県八千代市佐山1837-1・TEL 047-488-5054)