「下地は、たった2cmでした」—掘って分かった雑草の理由。15cmの土台から墓所を作り直した事例|八千代市 大堀様
- 千葉県八千代市上高野の共同墓地。「文字の白を直してほしい」「草がひどいので、コンクリートにできないか」というご相談から始まった、大堀様の墓所です。
- 見積もりのときに少し壊させてもらったら、下地のコンクリートは約2cm。その下は土でした。上物と玉砂利をすべて外し、土を出しきったうえで、約15cmの厚みで下地を打ち直しました。
- 草の出どころと水のたまり場を土台からなくし、文字の色も入れ直して、10年後もお掃除がぐっとラクな墓所になりました。
「文字の色が、薄くなってしまって」
大堀様から最初にいただいたのは、二つのお話でした。
ひとつは、墓石の文字の色です。建てられた当時ははっきりしていた白が、年月とともに薄くなっていく。手を合わせるたびに、少しずつ目に入ってくる。お父様の十三回忌が近いこともあって、その前にきれいにしておきたい、と。
もうひとつが、草でした。抜いても抜いても出てくる。だからコンクリートにできないか、というご相談です。

着工前の大堀家の墓所。文字の白が薄くなり、全体に汚れが出ていました。
現地に伺って、まずカロートを開けさせてもらいました。
カロート(納骨室のことです)を開けてみると、流れ込んだ土砂で内部が溢れていて、下の段がまったく使えなくなっていたんです。これを見た時点で、正直「これは、下も相当だな」と思いました。

カロート(納骨室)の中。流れ込んだ土砂で、下の段が使えませんでした。
そこで、見積もりの段階で少しだけ壊させてもらいました。予想は当たっていて、コンクリートは薄い。そして、そのすぐ下は土でした。

見積もりのときに少しだけ壊してみたところ。薄いコンクリートの下は、土でした。
土が残っていれば、草は出ます。何度抜いても出ます。大堀様のお手入れが足りないわけではないんです。
後方の塔婆立ても気になりました。中央側に張り出していて、その分スペースが狭くなっている。しかも受け用の石が入っているので、水の抜け道がない。雨が降れば水がたまり、ゴミもそこに落ち着いてしまう場所になっていました。

後方の塔婆立て。受け石があるため、水の抜け道がありませんでした。
私たちからは、いくつかご提案もしました。敷石にすれば、コンクリートよりもさらに長くきれいが続きます。石塔も少し動いているように見えたので、この機会に据え直してはどうか。目地にも気になるところがありました。どれもお見積もりをお出ししています。
そのうえで大堀様が選ばれたのは、コンクリートでした。
でしたら、そこはやりません。ご依頼のない場所に勝手に手を入れて、あとからご請求するようなことはしないと決めています。石塔の据え直しも、目地の打ち直しも、今回は見送りました。今回の工事に直接かかる場所——親柱の下などは、必要な分だけ手を入れています。お隣や後ろにも少し隙間はありますが、それでどなたかのお墓にご迷惑がかかる状態ではありません。そこは、また次の機会に。
そのかわり、選ばれたコンクリートは本気でやります。近藤石材店はお墓リフォームの専門家として、お墓の価値は「10年後の姿」で決まると考えています。表面をなでるような打ち方は、しません。
壊してみて、わかったこと
上物と玉砂利をすべて撤去して、下地のコンクリートを壊していきます。

下地のコンクリートを壊していきます。
そして、厚みを測りました。
約2cm。

撤去した下地コンクリートの厚み。約2cmしかありませんでした。
事前に大堀様にお伝えしていた見立ての通りではありましたが、実際に割った断面を見ると、やはり薄い。ひび割れも複数見つかりました。2cmというのは、正直に言えば「コンクリートを敷いた」というより「表面に塗った」に近い厚みです。これでは割れます。割れれば、その隙間から草が出てきます。同じ石屋として、この厚みでお渡しされてしまったことは申し訳なく思います。だからうちは、ここを作り直します。
ひとつ、良い発見もありました。その下から出てきたのが土ではなく砕石だった場所があったんです。地盤としては良好。これは大きい。
長い鉄筋棒を何箇所か打ち込んで、基礎がどこまで入っているのかも調べました。分かったのは、既存の外柵の周りとカロートが乗っている部分には基礎があるものの、内側の全面には基礎がないということでした。
土は、戻しません
下地を取りきり、カロートの中に溜まっていた土も、すべて外に出しました。

下地を取りきったところ。出した土は、墓所の中に戻しません。
ここが、近藤石材店がいちばん譲らないところです。掘った土をそのまま中へ戻してしまえば、処分費は浮きます。でも、その土は必ず草の種を抱えています。見えないところで手を抜けば、ご家族がこの先ずっと草むしりをすることになる。だから墓所の中に土は戻しません。
カロートは、今後モルタルやコンクリートがしっかり打てるように、基礎より10cmほど下げて掘り下げました。そのうえで、10cmほどの厚みでコンクリートを打って、中をきれいに整えています。上のコンクリートを打つときに中へ漏れてこないよう、カロートの上部には受け石も取り付けました。砕石は改めてしっかりと転圧しています。
完成すると、見えなくなるところ
ここからは少し専門的な話になります。でも、この記事でいちばん読んでいただきたいのはこの章かもしれません。完成写真には、絶対に写らない部分だからです。
まず塔婆立て。水の抜け道をふさいでいた受け石をやめて、受け石のいらないステンレス製の梯子金具に変えました。既存の石はそのまま使えるよう、金具が収まるように自社工場で加工しています。

自社工場で石を加工しました。
それから墓誌台です。取り外したときに、後ろにできる隙間が気になりました。この幅なら、間違いなく落ち葉がたまります。背面が雑木林ですから、なおさらです。そこで外柵にぴったり合うように、墓誌台の一部を工場で加工しました。ご請求には入れていません。仕上がりがきれいになるほうが、私たちも気持ちがいいので。
その墓誌台は、下部を少しだけコンクリートに埋め込む形にしたかったので、打設の前に先に据え付けました。さらに後ろを外柵にぴったりとボンドで固定しています。もう剥がれることのないように。そして、コンクリートが割れないようにステンレスのメッシュを張りました。

コンクリートを打つ前に、墓誌台を先に据え付けます。
コンクリートは、流し込むだけではありません
コンクリートは現場でミキサーを使って練ります。ムラなく、しっかりと。
打つときも、ただ流し込むわけではないんです。バイブレーターの振動を使って、隙間なく下までしっかり入り込ませていきます。上から流すだけだと、見えない場所に空洞が残る。そこが将来の割れ目になります。

バイブレーターの振動で、隙間なく下まで入り込ませます。
基礎がなかった箇所は、下まで掘っても土が続きます。ここで無理に砕石を全部取り除いてしまうと、かえって足元が不安定になる。だから取りきることはせず、その分をコンクリートの厚みで受けることにしました。当初の予定は10cm。それを15cm以上打てるように変更しています。

打ち直した下地の厚み。約15cm。
厚みは、そのまま割れにくさになります。2cmだったものが15cm。数字で言えば7倍以上です。割れなければ、草の出口も水のたまり場もできません。
芝台の後ろの凹みなど、ゴミや水が溜まりやすい細かい箇所にも、しっかりとモルタルを入れました。仕上げは水勾配です。雨水がきちんと流れていく角度を見ながら、コンクリートを撫でて仕上げていきます。外側の外柵に一部コンクリートが乗るのも、雨水を墓所の外へ逃がすための勾配です。見た目だけを考えるなら、外柵の内側でぴたりと止めたほうがきれいに見えます。でもそれをすると、水の逃げ場がなくなる。ここは機能を優先しました。

水勾配を見ながら、コンクリートを撫でて仕上げます。
もうひとつ。下地は全面をコンクリートで埋め尽くしてはいません。中央に水抜きを設けて、雨水が地面に抜けていくようにしてあります。
水の抜け道を、つくりました
加工しておいたステンレスの梯子状の水抜き金具をはめたうえで、塔婆立てを取り付けました。後ろに余裕はありませんでしたが、下と横にボンドをしっかり入れて固定しています。
裏側は、外側に寄せて設置しました。後ろに下げたことで段差が生じず、しっかりとした隙間が生まれます。ゴミが溜まりにくく、雨水が流れていく仕組みです。着工前に狭くなっていたスペースも、これで元に戻りました。

塔婆立てを据えたところ。後ろに隙間が生まれました。
文字が、戻ってきました
ここでようやく、大堀様が最初に気にされていた文字です。
いきなり白を塗り重ねることはしません。まず古いペンキを取り除きます。古い塗装が残っていると、新しい塗料がきれいに乗らないからです。それから、長年の汚れを落とすために、石塔をはじめ墓所全体を高圧洗浄で洗いました。

白ペンキを塗り直す前に、高圧洗浄で長年の汚れを落とします。
洗い上がった石を見たときは、こちらが驚きました。石本来の色と質感が、きちんと戻ってくるんです。
そのきれいになった石に、今一度白ペンキを塗り直しました。文字がはっきりと際立って、見違えるように鮮やかになりました。

洗ってから、文字のペンキを塗り直します。
あとは、墓所全体をもう一度きれいに整えていきます。

仕上げの作業。お参りとお掃除がしやすくなるように。
二段、使えるようになりました
土で埋まって一段しか使えなかったカロートも、二段とも使える状態に戻りました。骨壺は一つひとつきれいに水洗いしてから、お納め直しています。

すべての工事が完了しました。
これから先、草が出てくる場所は下地からなくなりました。雨水は勾配に沿って外へ流れ、中央の水抜きから地面へ抜けていきます。塔婆立ての後ろにも、落ち葉が居座る隙間はもうありません。背面の雑木林はこれからも落ち葉を落とし続けますが、玉砂利の隙間に潜り込むことはなくなったので、掃けば済みます。
工事が終わったあと、大堀様からは「丁寧に施工していただいて満足しています」というお言葉をいただきました。アンケートでは、うちを選んでくださった決め手として「地元での実績や安心感」「きれいで掃除がしやすいという提案の中身」「職人の対応や人柄」に丸をつけてくださっていて、これが本当に嬉しかったです。
10年後、20年後。大堀家のどなたがお参りに来られても、「いつも綺麗だね」と言いながら手を合わせていただける。そういう墓所になったと思っています。
🔨 5代目のひとこと
最初のご相談は文字の色でしたけど、行ってみたら下地のほうが気になりました。見積もりのときに少しだけ壊させてもらって、やっぱり薄い、下は土だなと。壊して測ったら2cm。あれじゃあ割れます。割れたら草は出ます。大堀様のせいじゃないんです。ただ、下から砕石が出てきたところもあって、地盤は良かった。基礎が内側に入っていなかったので、そこは無理に掘らずに厚みで受けることにして、10cmの予定を15cm以上にしました。塔婆立ての受け石も外して、水が抜けるようにしています。石塔もね、動いているように見えたので見積もりは出したんですけど、今回はいいよ、ということでしたので、そこはやっていません。頼まれていないところに勝手に手を出すのは、うちはやらないので。お父様の十三回忌に間に合ってよかったです。
大堀様にいただいた疑問・ご質問
Q. 文字の色を塗り直すだけでは、だめだったのでしょうか。
A. 文字だけの塗り直しでも、見た目はきれいになります。ただ大堀様の墓所の場合、草と落ち葉と水たまりの原因が下地にありました。そこを残したまま文字だけを直すと、数年後にまた同じお悩みが戻ってきてしまいます。十三回忌という節目でしたので、この機会に根っこから手を入れることをお勧めしました。
Q. 掘った土は、そのまま埋め戻さないのですか。
A. 近藤石材店では墓所の中に土を戻しません。土には草の種が入っているので、戻せば必ずまた生えてきます。処分費はかかりますが、ここを省くと、ご家族がこの先ずっと草むしりを続けることになります。
Q. コンクリートで全部ふさいでしまうと、雨水はどうなりますか。
A. 全面をふさぐことはしていません。雨水が流れるように水勾配をつけたうえで、中央に水抜きを設けて、地面へ抜けるようにしてあります。塔婆立ての後ろにも水の通り道を確保しました。
施工前 → 施工後
施工前。文字の色があせ、全体に汚れが。
施工後。下地から作り直しました。
八千代市・船橋市・千葉市・四街道市・大網白里市で、お墓の草や汚れにお困りでしたら、一度ご相談ください。現地を見せていただければ、原因がどこにあるかお話しできます。
執筆:有限会社近藤石材店 5代目 近藤洋(創業1925年・千葉県八千代市佐山1837-1・TEL 047-488-5054)