「笹の間に草。しかも砂利で取りづらくて…」竹やぶ隣のお墓、敷石をまるごとやり直した事例|印西市 O・M様
印西市武西にあるO・M様のお墓の工事記録です。竹林から舞い込む笹の葉の間から草が生え、玉砂利に絡んで抜きたくても抜けない。そんなお悩みでした。近藤石材店では厚さ約15cmのコンクリートで笹の根を断ったうえ、芝台を後ろまで広げて外柵と一体化させ、笹の葉が入り込む隙間そのものを消しました。ほうき一本でお掃除できるお墓に生まれ変わっています。
笹の葉の間から、草。抜こうとしても、砂利で指が入らない。
O・M様のお墓は、印西市武西の竹林のすぐそばにあります。風が吹くたびに新しい笹の葉が舞い込んでくるので、お参りのたびにお掃除の時間がどんどん増えていく。そんな状況でした。

工事前のお墓。すぐ後ろが竹林で、風が吹くたびに笹の葉が舞い込みます。
やっかいだったのは、笹の葉だけではありません。土の上に直接敷かれた玉砂利の間から、雑草が生えていました。砂利があるせいで指が入らず、根から抜こうにも抜けない。しかも笹の葉が砂利に深く絡み合っていて、「抜きたくても抜けない」状態になっていたんです。

玉砂利の間から生えた雑草。笹の葉が砂利に絡んで、抜きたくても抜けない状態でした。
石塔の土台(芝台)と外柵のあいだ、墓誌の後ろのわずかな隙間。手が届きにくい場所ほど、舞い込んだ笹の葉が溜まり、腐葉土になって雑草の温床になってしまう。ご先祖様の石塔まわりも、隣り合う石同士がほぼ密着していて、手はもちろん草抜きの道具さえ入りませんでした。

ご先祖様の石塔まわり。石同士がほぼ密着していて、道具も入りませんでした。
そこで今回は、敷石をまるごとやり直すことにしました。
まず、中央の石塔と五輪塔はそのままに、周囲の墓誌などの上物を一時的に取り外します。代々大切にされてきた石碑ですから、クレーンを使って、傷ひとつつけないよう細心の注意を払って一旦墓所の外へ運び出しました。

クレーンで墓誌などを慎重に運び出しました。傷ひとつつけないように。
外してみて分かったのですが、以前の敷石は薄いモルタルこそあるものの、ほぼ土の上に直接置かれている状態でした。昔はこれが普通の作り方だったんです。ただ、長い年月で土が締まって石が沈み、そのわずかな隙間から笹や雑草が入り込んでしまう。お悩みの根っこは、ここにありました。

上物を外し、長年溜まっていた砂利や土、絡んだ笹の葉をすべて取り除きました。
笹の根は、ものすごく生命力が強い。一度墓所に入り込むと、数年でコンクリートを突き破ってしまうことさえあります。だから近藤石材店では、一般的な深さを大きく超える25〜30cmまで、土をしっかり取り除きました。この「深さ」こそが、数十年後の安心を守る生命線になります。

深さ25〜30cmまでしっかり掘削。スケールを当てて確認しながら進めます。
石塔本体は動かせませんから、根元ギリギリまで手作業で慎重に土をさらいます。手が入りにくい場所こそ、笹の根が生き残りやすい難所。ここを妥協すると、数年後にまた同じ悩みが戻ってきてしまいます。

石塔の根元ギリギリまで、手作業で土をさらいます。
掘り下げた地盤には砕石を隙間なく敷き詰め、小型の転圧機で隅々まで締め固めます。機械が入らない石塔の根元や四隅は、ハンマーで一つひとつ叩き込みました。狭いからできない、ではなく、狭い場所こそ沈下の原因になりやすいと考えているからです。その上にワイヤーメッシュを張り、将来のひび割れに備えます。

小型の転圧機で隅々まで締め固め。狭い所はハンマーで一つひとつ叩き込みます。

砕石の上にワイヤーメッシュ。コンクリートの骨組みになります。
お墓は、生コン車が入れない場所でした。それなら、と、ミキサーを持ち込んで、砂・セメント・砕石をその場で練った作りたての高強度コンクリートを打っていきます。厚みは約15cm。一般的な敷石の下地は10cmに満たないことも多いのですが、笹の根が相手では、それでは足りないと判断しました。

持ち込んだミキサーで練った、作りたてのコンクリートを打っていきます。

厚さは約15cm。見えなくなる部分ですが、ここが土台の要です。
打設が終わったら、しっかり養生(乾燥)の期間を置きます。ここで焦らないことが、強固な土台への近道です。

下地コンクリートの打設完了。ここから養生期間を置いて、強固な土台に仕上げます。
養生を終えたら、敷石を一枚一枚、水平を確認しながらモルタルで丁寧に固定していきます。後ろの狭い部分は、モルタルを奥の奥まで押し込んで空洞を完全になくし、笹の根の進入路を物理的に断ちました。

敷石を一枚一枚、水平を確認しながら設置していきます。
ここまでが、いわば土台の話です。今回の工事には、もうひとつ大事なテーマがありました。
石塔の土台(芝台)と後ろの外柵のあいだにあった、手が届かないほどの狭い隙間。ここは舞い込んだ笹の葉がいちばん溜まりやすく、腐葉土になって雑草の温床になる場所でした。「石塔を動かさずに、ここをどう守るか」。それが今回の最大の課題だったんです。
普通は地面に石を貼ります。でもそれでは、結局「隙間」が残ってしまう。それなら、いっそ隙間を埋める高さまで土台を上げてしまおう。そう考えて、芝台を後ろの外柵にぴったり合わせるよう、高さを出しながら広げる、このお墓のためだけの作り方をしました。

芝台を後ろまで広げて外柵と一体化。お掃除しにくい「くぼみ」が完全になくなりました。
これで、笹の葉が入り込む余地は物理的にゼロになりました。石を貼るだけでは届かないところまでやる。このお墓のためだけの、笹対策です。
雨水の逃げ道にも、ひと工夫あります。このお墓は全体が後ろに傾いているので、普通どおり羽目石の真ん中に水抜き穴を作っても、水は流れ落ちません。それどころか、意味のない穴には泥や笹の葉が溜まって、かえって不衛生になってしまいます。
そこで、笹対策を終えたあと、改めて現場で「水がどこに流れるか」をミリ単位で採寸しました。ここに穴がなければ意味がない、という場所を導き出したら、石を一度自社工場へ持ち帰り、専用の機械で排水の穴をあけます。現場で強引にあけることはしません。狙ったポイントへ正確に、ゴミが引っかからないよう美しく仕上げるためです。こういう小回りがきくのは、加工までできる工場を自分たちで持っている石屋の強みだと思っています。

水の道筋をミリ単位で採寸。穴をあける位置を正確に導き出します。

石は自社工場へ持ち帰って加工。狙った場所に、美しく穴をあけます。
加工した石を戻すと、狙った場所にぴたりと排水口が収まりました。雨の日も水が滞ることなく外へ抜けていきます。後ろに傾いた地形を逆手に取った、「水が自ら逃げていく道」の完成です。
ご先祖様の石塔も、そのまま戻すだけにはしませんでした。100年以上が経って風化で一部欠けていたので、点検をして、欠けたところは石材専用のボンドで今後外れないようしっかり接着・補修しています。

100年以上を経たご先祖様の石塔。欠けた箇所を一つひとつ補修しました。
そして据え直すときには、元あった位置で一度仮に並べて、手や掃除道具が入る間隔をきちんと確認してから固定しました。以前は密着していて掃除のしようがなかった場所に、手が届くようになっています。

仮並べで間隔を確認してから据え直し。手や掃除道具が届くようになりました。
五輪塔の前の拝石は、お掃除のしやすさを考えて奥行きを10cmカット。逆にお地蔵様まわりのように、隙間があるとお参りしづらくなる場所は外柵にぴったり寄せて、コーキングで完全に塞ぎました。「掃除のために空ける隙間」と「ゴミを溜めないために消す隙間」を、場所ごとに使い分けています。
最後は仕上げの高圧洗浄です。工事の汚れはもちろん、石に積もっていた長年の汚れまで洗い流して、石本来の清々しい輝きを呼び戻しました。

仕上げの高圧洗浄。長年の汚れまで洗い流します。
これまでは土と砂利の中に笹の葉や雑草が入り込んで、お掃除が大変な重労働になっていました。これからは、ほうき一本でサッと掃くだけ。長年悩まされてきた笹と雑草の問題を、根本から解消したお墓に仕上がりました。仕上がりをご覧いただけるのが、私たちも嬉しいです。
施工前 → 施工後

施工前。玉砂利のあいだに笹の葉が絡み、雑草が生えていました。

施工後。隙間のない、ほうき一本でお掃除できるお墓になりました。
🔨 5代目のひとこと
このお墓は、すぐ裏が竹やぶなんです。笹の根は本当に強くて、薄いコンクリートなら数年で突き破ってくることもあるので、下地は普通より深く掘って15cmの厚みにしました。ただ、今回一番悩んだのは、石塔を動かさずに後ろの狭い隙間をどう守るかでした。石を貼るだけでは隙間が残ってしまう。それなら芝台ごと上げて、外柵とぴったりくっつけてしまおうと。排水の穴も、現場で強引にあけずに、石を工場へ持ち帰って機械で正確にあけています。うちは工場があるので、こういう一手間がかけられるんです。これで、笹の葉はほうきで掃くだけで済むはずです。
よくあるご質問
Q. コンクリートを打てば、笹や雑草は本当に生えなくなりますか?
大事なのは厚みと隙間の処理です。笹の根は薄いコンクリートなら数年で突き破ってしまうことがあります。今回は深さ25〜30cmまで土を取り除き、厚さ約15cmのコンクリートを打ったうえで、笹の葉が溜まる隙間は芝台を広げたりコーキングで塞いだりして、入り込む余地そのものをなくしました。
Q. 石塔を動かさずに、まわりだけ工事することはできますか?
できます。今回も中央の石塔と五輪塔はそのままに、周囲の墓誌などだけをクレーンで一時的に取り外して工事しました。石塔の根元は手作業で慎重に土をさらい、隙間は芝台を広げて塞いでいます。
Q. 傾いている墓地でも、水はけは良くできますか?
できます。今回は後ろに傾いた地形を逆手に取り、水の流れをミリ単位で採寸したうえで、石を自社工場へ持ち帰って正確な位置に排水の穴をあけました。地形に合わせた排水の設計が可能です。
竹やぶや山際のお墓で、笹の葉や雑草にお困りでしたら、一度現場を見せてください。その場所に合ったやり方を、ご一緒に考えます。
執筆:有限会社近藤石材店 5代目 近藤洋(創業1925年・千葉県八千代市)