その灯籠、ただ土の上に置かれていませんか—傾きの原因ごと絶って据え直した事例|印西市 恩田雅晴様
- 千葉県印西市。代々受け継いでこられたお墓の灯籠が、長い年月のうちに少しずつ傾いてきた、というご相談でした。
- 傾きの原因は、灯籠の下が土のままだったこと。まわりを掘り取って土台をつくり、モルタルで巻いて動かないようにしてから据え直しました。
- 灯籠の石は作り直さず、そのまま使っています。原因だった見えない下地のほうを作り替えたので、この先も傾きが出にくい状態になりました。
灯籠だけが、少しずつ傾いて
お墓そのものは、しっかりしている。でも、灯籠だけが、なんとなく斜めに見える。
印西市の恩田雅晴様からいただいたご相談は、そういうお話でした。代々受け継いでこられたお墓です。ある日いきなり傾いたわけではなく、長い年月をかけて、少しずつ。
この手のご相談は、たいてい「まだ大丈夫だとは思うんですけど」から始まります。でも本当は、お参りのたびに目に入って、ずっと気になっていらっしゃる。このまま放っておいたらどうなるんだろう、という小さな不安が、行くたびに積み重なっていくんです。

据え直す前の灯籠。まずは、傾きの原因を確かめるところから始めました。
原因は、灯籠の下にありました
見に行って、すぐに分かりました。灯籠が、土の上に直に置かれていたんです。
石は、見た目よりずっと重たいものです。その重さが、土の上にそのまま乗っている。雨が降れば土は締まりますし、乾けば緩みます。それを何年、何十年と繰り返せば、土は少しずつ沈んでいきます。四隅が同じだけ沈んでくれればまだいいのですが、そう都合よくはいきません。片側だけ沈めば、その分だけ灯籠が傾く。
つまり傾きの原因は、灯籠そのものではなく、目に見えない下のほうにありました。恩田様のお手入れが悪かったわけでは、まったくありません。
上から起こすだけでは、また傾きます
傾いた灯籠を直すとき、いちばん手っ取り早いのは、上から持ち上げて、下に土や砂を足して起こす方法です。その日は、たしかにまっすぐになります。
でも今回は、その直し方はしませんでした。下が土のままなら、また同じことが起きるからです。何年かしてまた傾いて、また同じご相談をいただくことになる。それでは、直したことになりません。
ですので、段になって積んである石を、一度ぜんぶ外すところから始めました。
外した石は、傷めないように順番に並べておきます。あとで元通りに積み直すためです。灯籠は作り直しません。恩田様のお墓に代々あった石を、そのまま使います。
完成すると、見えなくなるところ
ここから先は、出来上がってしまえば誰の目にも触れない部分です。でも、灯籠がこの先まっすぐでいられるかどうかは、ほとんどここで決まります。

まわりを掘り取ります。沈む原因になっていた土を、ここで抜いてしまいます。
まず、灯籠のまわりをしっかり掘り取りました。ここで大事なのは、掘った土をそのまま埋め戻さないことです。近藤石材店は、お墓の中に土を戻しません。せっかく掘っても、また土の上に石を置いたのでは、何ひとつ変わらないからです。

掘った底を平らに整えたところ。ここが傾いていると、上も傾きます。
次に、掘った底を平らに整えます。床付け(とこづけ)といって、この面の水平が、そのまま灯籠の水平になります。ここを目分量で済ませてしまうと、あとからどれだけ丁寧に積んでも、必ずどこかで狂いが出ます。

砕石を入れる前の下ごしらえ。底の当たりを取って、平らにならしていきます。
掘り終わったからといって、すぐにモルタルを流すわけではありません。砕石を入れる前に、底の当たりを一つずつ取って、平らにならしておきます。ここが平らでないと、上に乗る土台も平らになりません。

モルタルを流し込んで、灯籠の土台をつくります。
そのうえでモルタルを流して土台をつくり、灯籠のまわりをぐるりと巻くように固めました。土の上にただ置いてある状態から、固まった土台の上に据わっている状態へ。これで、雨のたびに地面の土が動いても、灯籠のほうは動きにくくなります。
据え直して、積み直す
土台が固まったら、外しておいた石を下から順に積み直していきます。一段積むごとに水平を見て、少しでも狂っていれば下ろして、もう一度。地味な作業です。でも、ここを急ぐと、せっかくつくった土台が台無しになります。
石と石のつなぎ目は、ボンドで付け直しました。ただ積んであるだけの状態と、しっかり付いている状態とでは、地震のときの心配がまるで違います。

据え直しが終わったあと。外した部材を、墓所の脇に並べておいたところ。
10年後も、まっすぐなままで
出来上がった灯籠は、まっすぐ立っています。ぱっと見ると、直す前とそれほど変わらないかもしれません。灯籠の石は同じものですから、当たり前といえば当たり前です。
でも、下は別物になりました。土の上に置いてあった灯籠が、土台の上に据わった灯籠になった。見た目は変わらなくても、10年後、20年後にここへお参りに来たときの姿は、まるで違ってくるはずです。
恩田様からは、あとで「丁寧な仕事、丁寧な説明で今後は近藤石材店さんに頼めば間違いない」というお言葉をいただきました。嬉しかったです。ありがとうございます。
近藤石材店は『お墓リフォームの専門家』です。敷石でも、外柵でも、灯籠でも、考え方はいつも同じです。土を戻さない。見えないところにある原因のほうを、先に絶つ。それだけです。
施工前 → 施工後
施工前。少しずつ傾いていました。
施工後。土台をつくって据え直しました。
🔨 5代目のひとこと
見に行ったら、灯籠だけが傾いていましてね。下が土のままだったんです。土の上に直に置いてあると、石の重みで、長い年月のうちにどうしても沈んできます。今回はしっかり掘り取って、下に土台をこしらえて、まわりをモルタルで巻いて、動かなくしてから据え直しました。積んである石も、一度全部外してボンドで付け直しています。ここまでやっておけば、そう簡単には動かないと思いますよ。
恩田様にいただいた疑問・ご質問
Q. 灯籠だけを直すこともできますか。お墓ごと建て替えたくはありません。
A. できます。恩田様のお墓も、灯籠の石はそのまま使い、傾きの原因になっていた下地だけを作り替えました。石塔や外柵を動かす必要もありませんでした。使える石は使う、というのが近藤石材店の考え方です。
Q. 積み上がっている石を外して、傷んだりしませんか。
A. 外すときが、いちばん気を使うところです。順番に、無理をかけないように外して、並べておきます。戻すときは一段ごとに水平を見ながら積み直し、つなぎ目はボンドで付け直しました。
Q. 一度直したら、また傾いてくることはありませんか。
A. 原因が下地にあった場合は、その下地を作り替えておけば、同じ理由で傾くことはぐっと少なくなります。逆に、上から起こして土を足しただけの直し方だと、また同じところが動きます。だから近藤石材店では、見えない下のほうから直します。
灯籠や墓誌が少し傾いてきたかな、と思ったら、写真を1枚送っていただくだけでも大丈夫です。印西市は近藤石材店から近いので、様子を見に行くだけでも伺えます。
執筆:有限会社近藤石材店 5代目 近藤洋(創業1925年・千葉県八千代市佐山1837-1・TEL 047-488-5054)