草を刈るのは、仕事だから慣れている。でも自分の家のお墓は別だった—造園屋さんのお墓を外柵ごと建て直した実例|千葉県 K様
千葉県の共同墓地で、白河石の古い外柵の中に木まで生えてしまったお墓を、いちど全部バラして建て直した事例です。広かった敷地はあえて使い切らず、石塔がきちんと映える必要な分だけにコンパクトにまとめ、敷地全体に基礎コンクリートを打って外柵を白御影石(湖南688)に新しくしました。土がなくなったぶん雑草が生えにくくなり、造園のお仕事をされているK様にも「これで気が楽になった」と喜んでいただけました。
草を刈るのは、仕事だから慣れている。でも、自分の家のお墓は別だった。K様は、そんな方でした。
K様は造園のお仕事をされている方です。よそのお庭の草刈りも、木の剪定も、除草剤をまくのも、毎日のようにやっていらっしゃる。プロ中のプロです。それなのに、千葉県の共同墓地にあるご自分の家のお墓は、白河石の古い外柵の中に、いつのまにか木まで生えるほどになっていました。
不思議に思われるかもしれません。でも、他人様のお庭はきちんと整えられても、いざ自分の家のお墓となると、なかなか手が回らない。そういうものなんだと思います。「仕事で草は触っているんだけどね」と少し照れたように仰っていたのが、今でも印象に残っています。
施工前 → 施工後

施工前。白河石の外柵の中に、木まで生えていました。
K様が選ばれたのは、草を刈り続けることではなく、草の生える場所そのものをなくすことでした。いちど全部バラして、根っこから直す。そのために、まず今のお墓を全解体しました。

外柵をはずすと、中はぜんぶ土。ここから草が生えていたんですね。

土を出していくと、中から古い外柵のガラ(石やコンクリートのかけら)が出てきました。

古い外柵や基礎もバラして、片づけていきます。(解体・バラし)

土をすっかり取り除いたところ。(土取り完了)

つぎに砕石を敷きならしていきます。(砕石撒き)

ランマでしっかり転圧して、地面を締め固めます。(転圧)

これで基礎の準備が整いました。(基礎準備完了)
そのあと、敷地全体に基礎のコンクリートを打ちました。ここが今回いちばん大事なところです。土が残っていると、そこから必ず草が出てきます。プロのK様だからこそ、それはよくご存じでした。だから中途半端にせず、敷地の全面をコンクリートでふさぐ。草の生える土をなくしてしまえば、抜く手間そのものがなくなります。

敷地全体にコンクリートを打っているところ。

基礎ができあがった状態です。
それからもうひとつ。K様のお墓は、もともとの敷地がかなり広かったんです。でも今回は、あえてその広さを使い切りませんでした。広ければ広いほど、手入れをする範囲も増えてしまう。それに、敷地いっぱいに大きく組むより、お参りがしやすくて、出入りのしやすいお墓のほうがいい。だから石塔が乗る必要な分だけにして、コンパクトにまとめ直しました。とはいえ、あまり小さすぎるとお墓として寂しくなってしまいます。そこは、石塔がきちんと映える自然な大きさになるよう調整しました。
基礎ができたら、外柵の石を据えていきます。

基礎の上に、外柵の石を据えていきます。(外柵の据付)
使わなくなった前の外柵の石も、処分はしませんでした。外柵の中に捨石として納めて、新しいお墓の土台の一部として活かしています。長く家を守ってきた石ですから、もったいないですしね。

前のお墓の使わない外柵を、捨石として納めているところ。
そのうえに、外柵を白御影石(湖南688)で組み上げました。石の加工は近藤石材店の自社工場でおこなっています。墓地内も石貼りにして、全体がすっきりと明るい仕上がりになりました。

白御影石の外柵を組み上げたところ。(外柵建込完了)

石塔を取り付けているところ。(石塔取り付け)
仕上がりをご覧になって、K様は「これで気が楽になった」と喜んでくださいました。草を触るお仕事をされている方が、自分の家のお墓のことで肩の荷が下りた、と言ってくださったのが、私たちもとても嬉しかったです。お参りのたびに草のことを気にしなくていい。それだけで、ずいぶん違うと思います。
広くて手に負えなくなったお墓、草が気になるお墓。まずは一度、見に行かせてください。
🔨 5代目のひとこと
K様は造園のお仕事をされている方で、草木のことは私よりずっとお詳しいんです。そのK様が、自分の家のお墓は全面コンクリートでやり直したいと。プロがそう決めたのは、土がある限り草は生えるって、いちばんよく分かっているからだと思います。敷地は広かったので、大きく立派に組もうと思えばできました。でも、今の時代、お墓を無理に大きくする必要はないと私は思っています。雑草対策で基礎は敷地全体にコンクリートを打ちますが、お墓そのものは敷地いっぱいに使うより、いかにお参りしやすいか、出入りしやすいか。そっちのほうが大事です。前の外柵も捨石で活かせて、いい建て直しになったと思っています。
よくあるご質問
Q. コンクリートを全面に打つと、本当に草は生えなくなりますか?
土がある限り、草はどうしても生えてきます。今回のように敷地全体をコンクリートでふさぐと、草の生える土そのものがなくなるので、抜く手間はほとんどなくなります。継ぎ目や外周からわずかに出ることはありますが、以前とは比べものにならないくらい楽になります。
Q. 広い墓地を、あえて小さく建て直すことはできますか?
できます。K様のお墓も、もとの敷地はかなり広かったのですが、必要な分だけにコンパクトにまとめ直しました。ただ、小さすぎるとお墓として寂しくなってしまうので、石塔がきちんと映える自然な大きさに調整しています。手入れの範囲を減らしたい方には、おすすめの方法です。
Q. 古い外柵の石はどうなりますか?
今回は使わなくなった白河石の外柵を、基礎の中に捨石として納めました。処分せず、新しいお墓の土台の一部として活かしています。長くお墓を支えてきた石なので、できるだけこうした形で残すようにしています。
執筆:有限会社近藤石材店 5代目 近藤洋(創業1925年・千葉県八千代市)