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「弟の墓は、別に建てませんでした」——二軒分の区画を一つの外柵にまとめ、次の代が守るお墓を一つにした事例|成田市 S.K様

  • 千葉県成田市。ご実家のお墓の改修と、弟様のお墓の建立。この二つを別々にではなく、一体で考えたいというご相談でした。
  • 隣り合っていた二軒分の区画を、間で区切らずに一つの外柵にまとめました。受け継いだ石塔は活かし、基礎・納骨室・外柵・敷石は新しくつくり直しています。リフォームと新規建立を兼ねた工事です。
  • 納骨室は二つ、お墓も二基。けれど守る墓所は一つ。この先ご家族が手を入れる場所は、一か所になりました。

「弟の墓を、別に建てるのは」

お墓の改修と、弟の墓の建立。この二つを、一体で考えられないだろうか。
最初のご相談は、そんなお話でした。

成田市にお住まいの S.K様。石屋を探すのに、まずお義父様に相談されたそうです。八千代市に、丁寧な仕事をする石屋があるらしい、と。そのあと奥様がSNSで調べてくださって、近藤石材店の評判が一番だった。そう仰っていました。ありがたいです。

弟様は、お一人です。
そのために新しくもう一つ、独立した墓所を構える。S.K様には、それがどうにも大げさに思えたようでした。かといって、放っておくわけにもいきません。

気がかりだったのは、その先のことです。ここで二つに分けてしまうと、次の代が守るお墓は二か所になります。掃除も、お参りも、費用も、ずっと二軒分ついてまわる。

施工前。外柵は古く、まわりには雑草が伸びていました
施工前。外柵は古く、まわりには雑草が伸びていました

場所は二軒分。外柵は、一つ

現地を見せていただいて、これはいけるな、と思いました。二軒分の区画が、ちょうど隣り合っていたのです。

そこで、こう決めました。場所は二軒分をそのまま使う。でも外柵は、間で区切らずに一つにする。中を広く一続きにして、その中にお二人のお墓を並べて据える。

間仕切りを一本入れるだけで、そこは「二軒」になります。草の生える隙間も、水のたまる角も、掃除する縁も、全部二倍です。逆に言えば、区切らなければ、そのどれもが一つで済むということ。

S.K様のご希望は「一体で」でした。私たちが石で答えられる形は、これだと思いました。

もともとは、この区画と隣の区画に分かれていました
もともとは、この区画と隣の区画に分かれていました

使えるうちは、使います

最初は、石塔(お墓の本体のことです)も建て替えようか、という話も出ていました。

けれど見せていただいて、私はこう申し上げました。これはまだ十分に使えます。使えるうちは、使いましょう、と。

ですから今回、そのまま活かしたのは石塔だけです。外柵も、敷石も、納骨室も、基礎も、全部新しい石でつくり直しました。石塔はリフォーム、下まわりは新規。この工事は、その二つを兼ねています。

近藤石材店は『お墓リフォームの専門家』です。何万件と現場を見てきて、まだ働ける石が捨てられる場面を何度も見てきました。自社工場がありますから、一から建て直さなくても、今ある石を活かす道はたいてい残っています。

土は、戻しません

ここからが、完成すると見えなくなるところです。

まず、古い外柵をばらしました。まわりのお墓を傷つけないよう、ベニヤをあてながら、少しずつ外していきます。石塔はこのときいったん預かって、工事のあいだ大事にしまっておきます。

古い外柵をばらす。まわりを養生しながら、少しずつ
古い外柵をばらす。まわりを養生しながら、少しずつ

次に、掘ります。ここが、いちばん大事なところです。

掘り出した土は、ダンプに積んで場外へ出しました。近藤石材店は、お墓の中に土を戻しません。

抜いても抜いても雑草が生えてくる。あれは、お手入れが悪いからではないんです。処分費を浮かせるために、見えない敷石の下へ土を戻してしまう。その建て方に原因があります。同じ石屋として、申し訳なく思います。だからうちは、出した土は出したまま。中へは戻しません。

掘った土は、そのままダンプへ。墓所の中には戻しません
掘った土は、そのままダンプへ。墓所の中には戻しません

掘ったあとは、砕石を敷いてプレートで固めます。地面そのものを、つくり直す作業です。

砕石を敷いて、機械で締め固める
砕石を敷いて、機械で締め固める

その上に鉄筋を組み、厚みを確かめてから、生コンクリートを流します。

鉄筋を組んで、厚みを確かめているところ
鉄筋を組んで、厚みを確かめているところ

生コンクリートを打つ。ここまでは、完成したら見えません
生コンクリートを打つ。ここまでは、完成したら見えません

ここまで全部、完成したら一切見えなくなります。でも10年後、20年後に効いてくるのは、この見えないところです。

一つの外柵に、納骨室は二つ

基礎ができたら、石を組んでいきます。ここから積む石は、全部新しく用意したものです。

石に開ける穴は、自社工場で取ります。現場で慌てて開けるのではなく、工場の機械で正確に。自社工場があるというのは、こういうところで差が出ます。

穴あけは自社工場で。現場ではなく、機械で正確に
穴あけは自社工場で。現場ではなく、機械で正確に

納骨室(カロート)は、二つ。大きいほうと、小さいほう。二軒分ですから、お骨の行き先はきちんと分けます。分けないのは、外側だけです。

石は、糸を張って通りを見ながら、水平器で一つずつ確かめて据えます。ここで一ミリ狂うと、上に積むほど狂いは大きくなる。

納骨室の石を据える。水平器を当てて、一つずつ
納骨室の石を据える。水平器を当てて、一つずつ

納骨室ができたら、外側をぐるりと囲む外柵を据えていきます。

外柵を据えていく
外柵を据えていく

石と石は、ステンレスの芯棒でつなぎます。箱いっぱいのこれを、一本ずつ打ち込んでいく。地味な作業ですが、地震のときに効きます。

ステンレスの芯棒を、一本ずつ
ステンレスの芯棒を、一本ずつ

組み上がったところです。外側は一つ、中の納骨室は二つ。

一つの外柵の中に、納骨室は二つ。外側だけを一つにしました
一つの外柵の中に、納骨室は二つ。外側だけを一つにしました

そして最後に、預かっていた石塔を、新しくなった土台の上へ据え直します。ここでこの工事は、リフォームと新規がひとつにつながります。

最後に、預かっていた石塔を据え直す
最後に、預かっていた石塔を据え直す

通路にも、新しい砂を

据え終わって、まわりを片づけて、通路にも新しい砂を入れました。

これはご依頼にはなかったことです。でも、お参りする方が歩くのは、そこですから。

あとからS.K様が、そこまで気を配ってもらえたのが嬉しかった、と書いてくださっていました。仕上がりも、想像していた以上だった、と。こちらのほうが嬉しかったです。

完成。通路にも新しい砂を入れました
完成。通路にも新しい砂を入れました

受け継いだ石塔と、新しいお墓が、一つの墓所に並びます
受け継いだ石塔と、新しいお墓が、一つの墓所に並びます

10年後、守るお墓は一つ

完成した墓所には、受け継がれてきた石塔と、新しいお墓が並んでいます。

お参りの場所は一か所。掃除するのも一か所。次の代に引き継ぐときも、一か所です。

敷石の下に土は入っていませんから、草も生えにくくなります。10年後、20年後に、ご家族が「いつも綺麗で助かるね」と手を合わせられる。そこを目指してつくりました。

ここは成田市の墓地ですが、八千代市・船橋市・千葉市・四街道市・大網白里市でも、同じ考え方でやっています。

🔨 5代目のひとこと

弟さんはお一人ですから、そのために新しくもう一つお墓を建てるというのは、ちょっと大げさかなと思ったんです。場所は二軒分ありましたけど、隣が空いていましたから、外柵を一つにして広く使えば、お兄さんの墓所の中に一緒に入っていただける。二軒分を、一件でまとめられました。石塔も、最初は建て替えようかという話だったんです。でも見せてもらったら、まだ十分に使える。使えるうちは使いましょう、と申し上げました。使ったのは、その石塔だけです。あとは全部、新しくしています。

S.K様にいただいた疑問・ご質問

Q. 隣り合った二つの区画を、一つの墓所にまとめることはできますか。

A. 区画が隣り合っていて、墓地の管理者の了解がいただければ、できます。外柵を一つにして中を一続きに使い、納骨室だけを分けておく、という形にできます。まずは現地を見せてください。

Q. 今ある石塔は、そのまま使えますか。

A. 状態によりますが、まだ使えることのほうが多いです。近藤石材店は自社工場を持っていますので、傷んだところだけ手を入れて活かす、という選び方ができます。石塔は活かして、下まわりだけ新しくする。今回もその形です。

Q. 掘った土は、どうするのですか。

A. ダンプで場外へ出します。墓所の中には戻しません。敷石の下に土が残っていると、そこから草が出てきてしまうからです。

施工前 → 施工後

施工前。古い外柵と雑草

施工前。二軒分に分かれていました

施工後。二軒分を一つの外柵にまとめた墓所

施工後。守る墓所は、一つになりました

執筆:有限会社近藤石材店 5代目 近藤洋(創業1925年・千葉県八千代市佐山1837-1・TEL 047-488-5054)

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