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神額と金文字が入り、周囲を整えた氏神様の完成全景

「元の場所には、戻しませんでした」—10年後に傾かないよう、大木の跡地を避けて氏神様を建て直した事例|千葉市花見川区 K・K様

  • 千葉市花見川区のK・K様から、氏神様を建て替えたいというご相談をいただきました。初めてのことで、何から始めればいいか分からない、とのことでした。
  • もともと氏神様のあった大木の跡地はあえて使わず、二、三メートル離した場所に、掘り下げから鉄筋コンクリートの土台まで新しくつくり直しました。
  • 木の根を掘り上げた場所を避けているので地面が下がりにくく、掘った土も戻していないので、この先も傾きや草に悩まされにくい氏神様になりました。

「初めてのことで、分からなくて」

最初のご相談で、K・K様がそう仰っていました。

氏神様の建て替えは、人生で何度もあることではありません。お墓と違って、まわりに聞ける人も少ない。どこに頼めばいいのか、そもそも石屋の仕事なのか、いくらくらいかかるのか。分からないことばかりで、そのまま何年も過ぎてしまう方も多いです。

K・K様は、インターネットで近藤石材店のホームページを見つけてくださいました。施工例と説明をすみずみまで読んでくださって、それでお問い合わせをいただいたと聞いています。ありがたいことです。

着工前。建て替える前の氏神様のまわりの様子です。
着工前。建て替える前の氏神様のまわりの様子です。

行ってみて、分かったこと

お電話をいただいて、すぐに現場を見に行きました。近藤石材店が大事にしているのは、これです。写真や図面だけで金額を出すことはしません。行って、立ってみないと分からないことが多すぎるからです。

実際に伺うと、氏神様の後ろのほうに、古い氏神様だったものが三基、残っていました。K・K様は、そのあたりもふくめて、まわりをきれいに整えたいとお考えでした。それなら、氏神様も一緒に新しくしましょうか——という話になったのが、今回の始まりです。

そしてもうひとつ。今の氏神様は、すぐ隣にあった大木のところに据えられていました。この場所のことが、今回いちばん大事な判断になりました。

元の場所には、戻しませんでした

ふつうに考えれば、もともと氏神様のあった場所に、新しいお社を据え直します。そのほうが自然ですし、お客様も、そういうものだと思っていらっしゃったと思います。

でも、やめました。

あの場所には大木があって、それを伐って、根っこを掘り上げています。木の根を抜いたあとの地面は、どれだけ埋め戻して固めても、年月をかけて下がってきます。土の中にあった大きな根が無くなった分、落ち着くところまで沈むからです。そこに氏神様を据えれば、何年か先に傾きます。

近藤石材店は、お墓リフォームの専門家です。創業から百年、何万件という現場を見てきて分かったのは、10年後・20年後にご家族が困っている原因は、たいてい見えない足元にあるということでした。今回もそれと同じで、上に何を載せるかより先に、どこに載せるかの話でした。

なので、大木の跡地からは二、三メートル離した、地面の落ち着いているところを選んで、そこに新しく土台からつくらせていただきました。せっかく建て替えるのに、10年後にまた傾きの心配をしていただくのは、私たちも嫌だったのです。

掘り下げて、土は戻さない

場所が決まったら、まず地面を掘ります。根切りといいます。ここが記事の中でいちばん地味なところですが、いちばん大事なところでもあります。

地面を掘り下げます。根切りといって、土台をつくる最初の工程です。
地面を掘り下げます。根切りといって、土台をつくる最初の工程です。

掘った深さと広さは、その場で測って確かめます。目分量では掘りません。

掘った深さと広さを、その場で測って確かめます。
掘った深さと広さを、その場で測って確かめます。

そして、掘った土はそのまま戻しません。処分の費用はかかりますが、ここで土を戻すと、その土の中の種から、あとあと草が出てきます。抜いても抜いても草が生えてくるお墓は、たいていこれが原因です。お客様のお手入れが悪いわけではないのです。

土の代わりに入れるのが砕石です。敷いて、機械でしっかり締めます。ふわっと敷いただけでは意味がないので、ここは念入りに。

砕石を敷いて、機械でしっかり締め固めます。
砕石を敷いて、機械でしっかり締め固めます。

鉄筋を組んで、一枚の土台にする

締めた砕石の上に型枠を組んで、鉄筋を配ります。

なぜ鉄筋を入れるのか。コンクリートは押される力にはとても強いのですが、引っ張られる力には弱くて、ひび割れます。そして一度割れると、その隙間から草が出てきます。この隙間の草は、土から出る草よりずっと抜きにくい。だから最初に鉄筋を入れて、割れにくい一枚の板にしておきます。

型枠を組んで、鉄筋を配ります。
型枠を組んで、鉄筋を配ります。

土台の高さも、その場で確認します。ここが少しでも狂うと、上に載るお社がまっすぐ立ちません。

土台の高さを、その場で確認します。
土台の高さを、その場で確認します。

そして、コンクリートを流し込みます。

コンクリートを流し込みます。
コンクリートを流し込みます。

コンクリートは、流したその日から固まり始めますが、本当の強さが出るまでには時間がかかります。急いで上に石を載せてしまうと、せっかくの土台が本来の力を出せません。なので、養生します。待つだけの日です。工事としては何も進んでいないように見えますが、この何もしない時間が、10年後の姿を決めます。

コンクリートを打ったあとは、急がずに養生します。
コンクリートを打ったあとは、急がずに養生します。

型枠をはずすと、こうなります。掘った土のあったところが、そっくり砕石とコンクリートに入れ替わりました。ここが今回いちばんお伝えしたいところです。

型枠をはずしたところ。一枚になった土台の完成です。
型枠をはずしたところ。一枚になった土台の完成です。

字を彫って、石を一枚かませる

土台が落ち着くのを待つあいだに、彫りの仕事です。文字を彫って、金を入れます。彫りは深さと角度で光の当たり方が変わって、見え方がまるで違ってきます。金を入れると、遠くからでも文字がすっと読めますし、雨に濡れても表情が沈みません。

文字を彫って、金を入れます。
文字を彫って、金を入れます。

それから、これは無くてもいい仕事なのですが、台座を一枚かませました。

コンクリートの土台の上に、お社を直に置いてしまっても、構造としては何の問題もありません。ただ、それだとどうも格好がつかない。一段かましたほうが、お社が引き締まって見えるのです。

とはいえ、そのためにわざわざ石を買うのも違うと思ったので、うちの在庫にあった白い石を使いました。側面は割り肌のまま仕上げています。つるっと磨いてしまうより、少し荒々しさが残っていたほうが、氏神様には合うと思いました。こういうところは、自社工場と石の在庫があるからできることです。

お社を据える準備をします。
お社を据える準備をします。

お社を、据える

いよいよ据え付けです。ここまでくれば、あとは丁寧に載せるだけ……とはいきません。据える瞬間が、いちばん気を使います。

水平は、何度も見ます。見て、直して、また見る。ミリ単位でも傾いていると、人の目は不思議とそれに気づきます。神様のいらっしゃるところが少し傾いている、というのは、やはり落ち着かないものですから。

お社を据えて、水平を確認します。
お社を据えて、水平を確認します。

据え付けが終わったところです。
据え付けが終わったところです。

10年後も、気持ちよく手を合わせられるように

できあがりを見ていただいて、K・K様には安心してお任せできてよかった、と言っていただけました。初めてのことで不安だったところから、ここまで信頼していただけたことが、本当に嬉しかったです。

この氏神様は、木の根を掘り上げた場所を避けて据えているので、地面が下がって傾いてくる心配がぐっと少なくなっています。足元は鉄筋の入った一枚のコンクリートで、その下の土も入れ替えてありますから、まわりから草が出にくい。雨が降っても足元がぬかるまないので、お参りもしやすいはずです。

お手入れは、たまに水をかけて、さっと掃く。それくらいで、きれいが保ちやすいと思います。10年後、20年後、お子さんの代になったときにも「うちの氏神様はいつもきれいだね」と言っていただけたら、これ以上のことはありません。

施工前 → 施工後

施工前。建て替える前の氏神様です。

施工前。建て替える前の氏神様です。

施工後。場所を変えて、土台からつくり直しました。

施工後。土台からつくり直しました。

🔨 5代目のひとこと

今回いちばん考えたのは、場所です。もともとの氏神様は、すぐ隣にあった大木のところに据えてありました。でも、その木を伐って根っこを掘り上げているので、あそこは必ず下がってきます。わざわざそこに建て直す理由はないので、二、三メートル離したところに新しくつくらせてもらいました。あと、基礎の上にお社を直に置いてしまってもいいんですが、それだと格好がつかない。一段かましたほうがきれいに見えるので、うちの在庫にあった白い石で台座を一枚つくって、側面を割り肌にして入れました。わざわざ買うほどのものじゃないですから。

K・K様にいただいた疑問・ご質問

Q. 氏神様の建て替えは、何から始めればいいですか?

A. まずは見に行かせてください。近藤石材店では、お電話をいただいたらできるだけ早く現場へ伺います。地面の様子や水の流れ、まわりの環境を見てからでないと、正確なご提案も金額のお話もできないからです。見に行くだけなら費用はいただきません。

Q. 氏神様は、もともとあった場所に戻さないといけませんか?

A. 必ずしもそうではありません。今回のように、大きな木を伐った跡地など、これから地面が下がってくる可能性の高い場所もあります。そういうときは、少し離れた地面の落ち着いているところへ移したほうが、結果として長くきれいに保てます。場所の判断もふくめて、一度ご相談ください。

Q. 掘った土は、埋め戻さないのですか?

A. 戻しません。処分の費用はかかりますが、土を戻すと、その中の種からまた草が出てきます。近藤石材店では、掘った分は砕石とコンクリートに入れ替えます。これが、10年後に草むしりで困らないための一番の分かれ道だと考えています。

K・K様のお客様の声を読む ≫

執筆:有限会社近藤石材店 5代目 近藤洋(創業1925年・千葉県八千代市佐山1837-1・TEL 047-488-5054)

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